
Profile
株式会社太平プレテック
常務取締役 兼 営業・生産部本部長 野口 慎平
品質保証室 リーダー 富田 将平
佐賀県佐賀市大和町大字川上157番地
TEL.0952-62-7300
- web site
- 株式会社太平プレテックオフィシャルサイト
Interview
抱いていた漠然とした危機感
弊社は、大手企業の下請けやOEM(他社ブランドの製品を製造すること)がメインです。安定的に仕事はあるものの、価格設定の難しさや薄利多売の構造に漠然とした危機感を持っており、なんとかしたいという気持ちがありました。プレス業界の中でも、差別化が必要だと感じていました。

自分たちの強みを生かして新たなプロダクトへの挑戦
そんな時に、ものづくり企業の跡継ぎ仲間から関光さんの話を聞き、「佐賀在住で、ものづくりの商品開発から販路支援まで総合的に伴走されている」とういう点に興味を持ち、すぐにコンタクトを取りました。
関光さんとお会いして、自社の現状や業界の状況、今後の事業構想まで、いろいろと話をしました。その中で、金型の設計・製作からプレス部品の加工までを一貫してできるという弊社の強みを生かして、高級素材(チタン)を使った自社ブランド製品を作ってみると面白いのでは?というご提案がありました。
チタンの加工は難しく、特殊な技術が必要なのは知ってましたが、これまで培った技術を活用すれば自社で出来ないことではないと思いました。チタンは見た目もきれいだし、熱伝導率が高いく身体に無害といった特徴があります。この特徴を生かして、何か生活に役立つものをつくろうと考えました。
全く新しい分野だったのでハードルは高く感じましたが、業界の中で差別化して生き残るためには、利益を考えて自社で価格設定ができる製品にチャレンジすることは重要だと思ったからです。こうして、プロジェクトチームを立ち上げ、自社ブランド製品開発に着手しました。

新規プロジェクトによって得られた変化
今回のプロジェクトを通じて最も大きく変化した点は、従業員のモチベーション、仕事に対するやりがいが向上した点です。下請け中心の仕事だと、専門的な技術や習熟は必要なものの、どうしても決まったことを繰り返す業務になってしまいますが、プロジェクトでは難易度の高い製作に加え、スタイリッシュな製品を作るために主体的に知恵を絞って取り組む必要がありました。何度も試行錯誤を重ねる大変な業務でしたが、プロジェクトメンバーはやりがいを感じてくれ、家族にも胸を張って仕事の話をしているようです。従業員がいきいきと仕事をしてくれる姿を見ると、とてもうれしいですね。
また、チタンを活用したコンシューマー向けの製品を開発するという点が、チタン活用を広げていきたい大手鉄鋼メーカーに評価され、win-winの新たなサプライチェーン(製品や商品が生産者から消費者に届くまでの一連の流れ)を構築できたことも大きいですね。

目指していること
従業員の変化を目の当たりにし、今はこの開発プロジェクトを採用活動にもつなげていければと考えています。就職活動中の大学生との交流イベントした際に、学生の中には「自己実現できるのであれば、業種にはこだわらない」という考えを持つ人が一定数いるのだと知りました。そういう学生たちに、このプロジェクトを通じて製造業の面白さやプレス金型の可能性を感じ取ってもらえれば、きっと弊社に興味を持ってもらえると思います。ただの製品開発にとどまらず、太平プレテックという会社のブランディングを目指したいです。
デザイン活用を検討している事業者さんへのメッセージ
下請けやOEMが中心の弊社には、技術はあっても「新しいものを生み出す」という文化がありませんでした。デザイナーには、アイデアの引き出しが豊富にあり、僕たち製造業はそれを実現する技術を持っています。デザイナーの「新しいものを生み出す」創造力と弊社の「技術力」が合わさって、業界での差別化を図るための第一歩を踏み出せました。
とはいえ、新規事業への投資に対して会社内で理解を得るためには、いくつもハードルを超えなくてはいけません。経営陣に事業の必要性に納得してもらい、どこでどう売っていくかというところまで説明できなければいけません。関光さんには、これまでの経験や知見を活かして、そういった部分の論理武装も支援していただいています(笑)
もし、自社の課題の解決方法やブランディングなどについて困っているのであれば、一度デザイナーと話をしてみる価値はあると思います。頭の中の漠然とした悩みや想いが言語化されて、方向性が見えてくるかもしれません。

Designer依頼したデザイナー

Gate Light Design(ゲイトライトデザイン) 関光 卓さん
director / designer
IF賞(ドイツ)、A’Design Award(イタリア)、グッドデザイン賞(日本)、ASIA DESIGN PRIZE(韓国)など複数受賞。
中小機構実務支援アドバイザーなど、様々な行政事業支援アドバイザー。
家具デザインを中心に陶磁器、車椅子やキャンプ用品など様々なプロダクトデザインを行う。
ワンストップのデザイン活動を大切にし、事業構想やブランディング、アートディレクション、営業戦略立案など、事業をデザイン経営的観点で総合的にサポートする。
また、グラフィックデザインやパッケージデザインなどプロダクトデザイン以外も行い、”何事にもデザインが必要”というコンセプトで、対象の垣根なく様々なコト・モノのデザインを行う。
- web site
- Gate Light Designオフィシャルサイト